熊本に半導体メーカーのTSMCが参入します。
岸田内閣がTSMCの参入を後押ししており、工場建設の総投資額(約1兆円)の約半分(8000億円)を補助します。
そんなTSMCですが、日本への参入は初となり、今後の半導体事業に期待されます。
TSMCが参入することにより熊本県内に活気が戻り、景気が回復していくと予測されているのです。
肥後銀行が算出した経済効果は約1兆8000億円。
既に建設中の工場の周辺は土地の高騰が始まっています。

TSMCとは

- TSMC:(Taiwan Semiconductor Manufacuturing Company:台湾積体電路製造)
- 本社所在地:台湾新竹市東区
- 時価総額:世界第9位(約60兆円)
- 従業員数:約6.5万人
- 創業:1987年
- 当期純利益:約2兆円(2021年)
- 平均年収:~450万円(200万元)
- ファウンドリ業界:世界シェア1位(54.1%)
TSMCで製造している微細化技術は5nmプロセス。
5nmは世界最小ですが、TSMCは2nmプロセスの開発を目指しています。
熊本で製造される半導体のサイズは22~28nmプロセス。
22~28nmプロセスは約10年前の技術です。

3nmプロセス=髪の毛の2万分の1
新工場で約10年前の半導体をつくる理由
世界的に半導体不足が騒がれていますが、半導体不足が騒がれているのは最新のnmプロセスだけではありません。
数年前に開発されたnmプロセスも不足しています。
車の購入を予定している方は分かるかもしれんませんが、購入から納期までにかなりの時間がかかっています。
半導体が不足してしまうと車の製造もできない状況です。
そんな危機を打開するためにも半導体不足を解消させる必要があります。
車に使う半導体に最新のものは必要ない!
熊本で作る半導体は世界で使用されます。
なぜ、世界の半分以上の半導体を製造しているTSMCは日本の熊本に新工場を設立させるのでしょうか?
その謎に次の項目で紹介していきます。
TSMC熊本進出の理由


水資源が豊かな熊本に目を付けたTSMC。
半導体の製造には水が欠かせません。
熊本は純度の高い地下水が豊富で、TSMCにはうってつけの土地だったのです。
台湾は台風が減少したこともあり、水不足に陥っています。
TSMCは水を確保するために節水に力を入れ、給水車を用意するなど、水の確保に懸命でした。
そんなTSMCは数ある土地の中から熊本を選んでいます。
熊本人も驚くほど、熊本の水は純度が高く、世界に誇れる水なのです。
TSMCの進出により水不測が心配されそうですが、熊本には「地下水保全条例」があり、知事の許可がなくては大量に水を使用することができない仕組みとなっています。
一定のルールのもとに水を使うことが許されており、ゆるやかな許可制度が設けられています。
半導体の性能が上がるとともに、水の純度もより高いものが必要です。
わずかな不純物でも製造時に影響を与えるため、半導体の性能に関わります。



デジタル化の促進とともに、半導体の製造は劇的に向上
世界は水不足に陥っています。
そんな中、半導体に使用する水は貴重です。
半導体企業は水の確保が必要となり、水が確保できない企業は衰退していくでしょう。
TSMCの半導体を受託している企業
5nmプロセスを量産できているのはTSMCだけ!
そんな最先端技術が詰め込まれたTSMCの半導体ですが、どのような企業に使われているのでしょうか?
気になる企業を紹介していきます。
- アップル
- フィリップス
- ブロードコム
- NVIDIA
- ハイシリコン
- クアルコム
- AMD
- インテル
TSMCの半導体がないと我々が使っているiPoneは製造できません。
TSMCがなくなるとiPoneだけではなく、あらゆる製品が消えてしまいます。
私が記事を作成しているPCもAMDのCPUが使われていますし、NVIDEAのGPUが内蔵されています。
AMDの競合であるインテルもTSMCの半導体を使っており、強豪同士でTSMCの半導体を取り入れ競い合っている状況です。


初任給と募集人員
熊本に新設中の工場には約1500人の従業員が必要です。
ただし、1500人の人材確保は熊本県内では厳しいため、県内以外でも早めの募集が始まっています。
オペレーション
- アシスタントエンジニア
- 設備エンジニア
- 産業安全・環境保全エンジニア
- プロセスインテグレーションエンジニア
- プロセスエンジニア
品質管理
- 化学分析エンジニア
IT
- インフラ・ネットワークエンジニア
- 製品DevOpsエンジニア
ESH
- 環境安全衛生エンジニア
TSMCの新工場内でも様々な分野に分かれていますが、求人情報のindeedによると年収は600万円~1200万円です。
2022年の熊本の最低賃金は全国ワースト1位の853円です。
年収が600万円からであれば、働きたいと考える方は多いはずです。
熊本県内の企業だけではなく、九州内の企業は従業員の確保に必死でしょう。
特に半導体に携わっている企業は人材確保に専念する必要があります。
生半可な給与では働き手がいなくなり、TSMCに流れていくでしょう。
本日のまとめ
世界の半導体市場は2021年に25%増となっており、約57兆円となっています。
コロナ禍でデジタル化が一気に進んでいて、今後も継続して飛躍していきます。
2022年は更に11%の増加が予想されており、今後も半導体市場は右肩上がりです。
JASMの参入により熊本の活性化がはかれますが、その反面、痛手を負う企業は必ずでます。
JASMはソニーセミコンダクタソリューションズとデンソーが少数株主として参画。
\8社が出資するRapidusとは/




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